《世界大战争》単なる特撮映画としてではなく、第三次世界大戦の勃発から、そこに巻き込まれた市井の人々の生き様をリアルかつ情感豊かなタッチで描いた名作。記者クラブの運転手・田村(フランキー堺)は戦後を生き抜き、地道に働いていた。ところが世界情勢は緊張を増し、ついに戦争へと突入してしまう。田村は妻・お由(乙羽信子)と娘・冴子(星由里子)、息子と共に最後の夕食を共にする。冴子は未来を誓い合った爱人の高野(宝田明)にモールス通信で電文を打つ。「…コーフクダッタネ…」。やがてミサイルが東京を襲い、世界最後の日が訪れる。実に12回の改稿を経たシナリオは、慎ましやかに生きる庶民の視点から最終戦争という不曾有のカタストロフを捉えており、田村に扮するフランキー堺の熱演が見る者の涙を誘う。円谷英二による特撮も、まさしく入魂の实行度。